日本でもいくつかの本がインナーチャイルドについて取り上げています。内なる子供と言う意味ですが、自分の中に別の人格がいるかのようで、なかなか受け止められない方もいるかもしれません。子供は純粋であるが為に、大人から言葉や態度での傷を受けてしまう事があります。その癒しをしないまま置き去りにされた感情は、体だけは大きくなった大人の自分に反していつまでも小さいまま居座っています。そして癒されるのを待っているのです。
 しかし、余りにも傷ついている為に、かなりひねくれてしまって導いても姿を出そうとしなかったりする事もありますし、酷ければ「哀しんでいる私がいるのに、何で自分だけ幸せになろうとするのか?」と大人になった自分の足をひっぱたりする事もあるのです。
 それが生き辛さとなってしまいます。

 実際私は、生き辛さを感じていながらも、カウンセリングを学んでいる場で、「私は、取りたてて問題もない家庭に育ってきました。問題のない両親に育ててもらっていながら、どうしてこんなに苦しいのでしょうか?自分に問題があるに違いないと思うんです。」
とグループワークなので数名の人の前で話したところ、開口一番、講師に「ほら、典型的なインナーチャイルドを抱えた人ね。」と言われました。
 インナーチャイルドは知っていましたが、その時は全く意味が理解できませんでした。
  「あなたはね、ずっとそうやって、親を責めてはいけない、親はすばらしい人なんだ、という幻想の中で生きてきていませんか?
 今生きづらいのであれば、まず本音を探っていきましょう。
 ここは安全な場なのですから、何を言っても否定される事もなければ、あなたを嫌いになる人も居ません。安心して心を解き放ちましょう。」
 そう言われても、ピンときませんでした。ただ、受け入れてもらっているという感じはしました。
 暫くして、ふと、洗面台の鏡の前で出かける準備を整えていた時、突然目の前に胎児のイメージが浮かびました。考えもしなかったイメージなので初めは錯覚だと思い、次に赤ちゃんを生むという事?等と相手もいないのに考えたりしました。
 しばらくして、その胎児が自分自身だと分かってきました。その胎児は母親のお腹の中で「絶望」し「哀し」み、「生まれたくない」と思っているのが分かりました。
 ショックでした。これが私なの?と。
 でも考えてみれば納得もいきます。私は3人目の子供で、母親は自営業を手伝いながら職人さんの食事を全て賄っていたのです。二人の小さな子供を抱え仕事もし、精神的にもどれほど大変だった事でしょう。
 お腹に居る時に、母親が「この子が生まれたら大変になる。」と思ったその気持ちを察知してしまったのかもしれません。胎児には意志がある、と聞いたことはありましたが、これがそうなのか…と衝撃を受けました。
 もちろん母親が誕生を全く喜んでいなかったはずは無いと思いますが、胎児としては「お母さんが可愛そう。私は生まれないほうがいいんだ。」と自分勝手に解釈していたのでしょう。それまでなかなか自分が癒されなかったのですが、私はこのトンでもないビジョンからヒントを得て、一番小さいインナーチャイルドを見つけることが出来たのです。
 インナーチャイルドの誤解を解く事と、愛されて生まれてきたという確認を取らせてあげる必要がありました。大人になった自分がチャイルドを抱きしめてあげて安心させてあげるのが最良の方法です。もちろんイメージの中でですが。
 インナーチャイルドに名前をつけて抱きしめることを暫く毎日続けました。本名でも構いません。私は「舞」と名づけました。

 少しずつですが癒しは進んでいきました。舞が成長したところで、この癒しは終了です。実際は、私のように突然ビジョンが見えることは稀でしょう。
 誘導瞑想で探っていくのが近道だと思います。


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