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透視による過去世体験

 過去世の体験は、このようにセラピストに誘導されて自分で見る以外にも、占い師に見てもらったり、ヒーリングを学ぶ上で自分一人で見る事も、相手に見てもらう事もありました。私個人的には人に見てもらうよりも、自分で実際に体験するほうが真実味を帯びる気がして癒しも深いように感じます。
 見てもらう場合も大変参考にはなるのですが、私は、かなり疑ぐりぶかいのでそう思うのかもしれません。
 22歳の頃、友人と時々、信頼していた占い師に会いにいきました。その方は霊能力が強く、はっきりと結果を告げる方でした。
 一度だけ、今の時代に一番影響の強い前世を見てくださいとお願いしました。
 その方は何分か黙って瞑想をした後、紙に書き出したものを伝えてくれました。

 鎌倉時代、私は、三重県に生まれました。それなりの由緒ある家のようです。生まれた日が丁度日食の日だった為に、「神の子」として産まれて間もなく、伊勢の賢島に預けられます。そこで神に仕えるべく暮らす事になったのだそうです。
 それから12、3歳になり、伊勢神宮へ巫女として遣わされます。その後、伊勢に来ていた鎌倉幕府の将軍・源頼朝に見初められ、「この娘が鎌倉にいればその土地に神がいることになる。」というような理由で鎌倉へ連れて行かれました。(有名人の名前が出てくると私としては引いてしまいましたが。)頼朝は大変大切に扱い、自分の片腕である武術の達人の藤原氏の武士と結婚させます(巫女は結婚できるのか?)。そして、6・7年はとても幸せに暮らしたそうです。
 ところが、その武士は将軍の片腕であっただけに、戦に出て死んでしまったのだそうです。私は余りの哀しみで、狂ったように舞を舞い、それが実際現代の能の動きの基になった、能楽の元祖を作った女性だ、とのことでした。

 占いですし、余りに途方も無い話ではありましたが、小さい頃から小田和正さんの大ファンで当時歌と芝居の勉強をしていたので、「舞いを舞った」という部分では応援されているのかな、程度に受け取りました。芸事に進んでも良いとの話でした。
 その他の占いの場合、とても現実味を帯びた厳しい鑑定をされる方だったので、この内容には少し驚きました。有名な人物を出して、わざと面白くするようなタイプの占い師ではない事が分かってはいましたが、自分の中では消化できずにいました。
 その時私の友人は、とても大人しい日本女性の過去世が現れました。意見を言う事が出来ない時代の女性でした。自分の意志を全く持たないまま言われた通りに結婚して、その夫が戦から帰らない為実家に戻され、親の言うまま再婚をします。
 その後、初めの夫が帰ってくるのですが、彼女が再婚した事を知ると逆上し彼女を刀で切ってしまったのだそうです。それだけ彼が愛していたとも言えるのかプライドを傷つけられたせいなのか…ひどい話だな、と思いました。
 占い師によれば、現代では簡単に殺されてしまうと言う話にはならないけれど、自分の意志を持って生きていない、と指摘されて、彼女自信もとても深く納得したそうです。

伊勢への旅

 私の伊勢の話は、この時それ程深い意味が隠されているとは思いもしませんでした。
 ただ、占い師によれば、過去に関わっていた土地を訪れると、パワーがもらえるから一度行ってみると良いと言われ、いつか必ず行きたいと思っていました。
 そのチャンスが訪れたのは26歳になった夏でした。姉と二人で伊勢神宮へ行こうという事になったのです。元々神社・仏閣を訪ねるのが大好きな二人だった事もあり、伊勢のスペイン村「パルケエスパーニャ」に行くのも楽しみの一つでした。姉はスペインが大好きなのです。

 宿は賢島を選びました。内心どこかで、デ・ジャブ(既視夢)を体験しないかなとも期待していました。伊勢神宮のお参りの仕方は、外宮から内宮が基本です。その日、とても変わった天気で、降っては日が差し、また雨が降るという感じで外宮はまるで雨に体を清められているかのようでした。お決まりのように、伊勢うどんや赤福氷(今や大好物!)を堪能し、いよいよ内宮を訪れました。私は神社が大好きなのですが、伊勢神宮の「気」はとても凛としたすがすがしい感じがしました。どこに境界線があるのか(実際結界が張られている気がしました)明らかに空気が違うのです。何度も深呼吸をしながら参道を進みました。残念ながらデ・ジャブは特に感じませんでした。
 気も木もいいなあ、と思っているとフッと「神の子よ。」という優しい女性の声が聞こえたような気がしました。私と姉しか歩いていません。空を見上げてみました。
「…。」
 空耳に違いない、でなければ自意識過剰だ、やばいやばい、とその時はそれ以上考えず忘れる事にしました。
 無事15分程歩いて本宮にたどり着きました。石段を登って行ったところに厳かに社が見えてきました。写真撮影は一般に禁止されていました。宮司さんなのか神官なのか、男性が立っていらっしゃいました。その場だけ時代が遡るようで、見とれてしまいました。
 お参りさせていただき、2礼2拍手1礼をしていると、御簾のような布がふわっと風に吹かれて奉ってあるお供え物が目に写りました。

 無事にお参りを済ませ、ホテルに戻りました。結構歩いたので疲れてしまったのか、姉がお風呂に入っている間に私はベッドでウトウトしてしまいました。姉が帰って来た気配を感じたので、意識して起きあがろうとした時です。目もくらむような光が私の額に入って来たのです。どう表現したらいいのでしょうか、目を開けようとした瞬間に光がいわゆる第三の目と言われる場所に「バチッ!」と稲妻が走るようなショックとともに光って、思わずしばらく茫然自失状態でした。でも、姉はただ寝ぼけているだけだと思ったようです。
 何だかうさんくさくて、この事は姉には言いませんでした。
 もう一つその夜は、不思議な物体と遭遇しました。部屋の窓から見える低い空に大きくなったり小さくなったりする、光る物体です。まさかUFO?等と姉と話していましたが、半信半疑でした。その低さならば、車が遠くの山の方で走る度に見えているのかもしれないと思ったからです。場所は殆ど変わらないのですが、丸く大きく(火星が大きく見えるくらい)光ったり、急に光が小さくなったり不規則に繰り返していました。そしてその内スーっと消えてしまいました。
 翌朝、同じ場所を確認してみましたが、どう考えても、山ではありませんでした。空が広がった場所のように見えました。本当でもウソでもいいのですが、ちょっと楽しい体験でした。
 この旅もその内いつもの事ながら、記憶の一つとして埋もれて行きました。パワーは充分に頂いてきたとは思いましたが。


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